従来から一般的には、“歯科治療は怖いもの、痛いもの”だと多く人々に認識されている。その“怖さ”が蔓延し、安全安心という意識からも遠ざかることとなり、受診に影響を与えている。
しかし、昨今は注射針の細さについてもご承知の通り、神経支配の認識と麻酔液の開発がなされ、かなり緩和されてきた。実際麻酔液が切れると、その恐怖心と共に、患者には苦痛が生じている。まして、今後のインプラントオペの施術において影響は甚大である。私は以前、VASによる意識調査をインプラント学会に投稿したことがあるが、結果的に終わってみれば意外と痛みや違和感が少なかったと言う結果を報告した。患者に対するコンサルテントにおいては、このことを踏まえて指導をして積極的に手術を受けられる環境にしている。しかし、患者サイドではもっと安全に痛みや違和感を無くすことが望まれているという現状で、すなわち、そのことがインプラントの普及に足かせとなることは避けなければならない。
今回、疼痛緩和としての麻酔学を東京歯科大学の麻酔学の福田謙一教授にお願いし、笑気・静脈鎮静をハンズオンにて行い、反復教育できるよう考えております。この講演・講義はインプラントの臨床拡大に意義深いものと考えています。
また、ベテランインプラントジストによる症例紹介と教育ガイドラインの講義、そして海外の韓国・Prof.Seok Gyu Victor Kim(Samsung Medical Center Dept of Prosthodontics)をお招きして、インプラント補綴に関する最近の国際的事情について講演していただきます。
今回も多彩ですので、衛生士・歯科助士等スタッフさんにも声をかけて、ご参加下さい。
一般社団法人東京形成歯科研究会
施設長・理事長 奥寺 元
「インプラント表面性状の違いによるオッセオインテグレーションの考察」
一般社団法人東京形成歯科研究会 渡辺 泰典 先生
Albrektssonらがインプラント治療の成功のための6つのパラメータを提唱してから30年以上が経ちます。この、①インプラントの材質、②デザイン、③表面性状、④骨の状態、⑤外科手技、⑥荷重の状態、という6つのパラメータは自分の症例を考える上でもいつも意識しています。
この度は、特に①~③について歯科理工学的観点から若干の解説をします。更に表面性状の違いによる細胞レベルの相違を私は現在大学で検索していますが、抜歯即時埋入にHAインプラントが有利であるという、今まで自分が行ってきた臨床所見と一致する基礎データも追及できましたので、その辺をこの度発表したいと思います。
渡辺 泰典
「ガイデッドサージェリーをEasyに取り組むために、光機能化技術の利用について」
一般社団法人東京形成歯科研究会 相澤 八大 先生
インプラント治療は歯が抜けて無くなった部分に、チタン製の人工歯根を埋め込み、天然のよ
うな歯を回復させる方法として、確立された補綴治療の一方法であることは言及の必要はない事である。咬合や審美性を考慮したインプラントの配置を行うことが永続性の高い結果を生むことができる。CT画像を利用したガイデットサージェリーは、インプラントを補綴的に適切な位置に導くために有効であるものの、高額なツールであるために、利点・欠点を把握した上で行う必要がある。今回はガイデットサージェリーとして世界シェア1位であるシンプラントを中心に比較的簡単確実に取り組めるようなポイントを説明したい。
もう一つ、新しい技術には賛否両論が伴うことが多い。光機能化技術もその一つであるかも知れない。加工直後のインプラントと骨との接触率は、90%程度であるのに対し、通常我々が使用しているインプラントでは、インプラントの骨との接触率は、50%程度であるという、インプラントエイジングの発見と共に、紫外線領域内の特殊な光でインプラント表面を処理する技術である、光機能化技術についての当院の取り組みの現状を報告したい。
相澤 八大
日本歯科医師会
山梨県歯科医師会 公衆衛生委員会委員長
日本口腔インプラント学会 専門医
日本歯科麻酔学会 認定医
日本口腔外科学会
日本矯正歯科学会
日本学校歯科医会
「現在の補綴における課題の新ソリューション」
韓国・Prof.Seok Gyu Victor Kim(Samsung Medical Center Dept of Prosthodontics)
保持ネジ保持またはセメントの保持方法がインプラント インプラント修復の 2 つの主要な方法があります。ネジ保持型インプラント歯科の早い段階で提案された最初とその臨床成功教授 Brånemark と他の多くの科学者によって証明されています。ネジ保持は、修理のための回収可能性の利点が人工のフィット、受動態を達成するために難しさのためには高度な技術です。セメント保持型種類が比較的簡単な加工技術です。セメント保持インプラント補綴製造のコストは、したがって、比較的低いです。咬合面のネジ穴を持たない、セメント補綴 esthetics および閉塞の点でより多くのメリットを提供し、インプラント サポートを製造する確立された方法となっている。上構造の修理のためまたは他の緊急事態でのセメント保持インプラント補綴の取得は、困難と予測です。弱い暫定セメントによるセメント補綴の偶発的な脱落はこの設計信頼性の低い。インプラント ネジ(SCP)およびセメント保持ネジ保持型、または型のセメント保持の不利な点を克服することができます、優秀な治療法です。SCP は一般に、1 つねじで義歯を保持 および他はセメント添加、すなわち1 つマルチ ユニット義歯フレームワークで複数のセメント で上部構造を固定する。 セメント - 保持部の SCP フレームワーク全体の受動的なフィットを提供し、仮のセメントの使用により、SCP の回収可能性。その一方で、ねじ - 保持部の SCP はセメントの完全なウォッシュ アウト後も偶発的な脱落から framework 全体を保持します。 SCP 比較的目立たない後方咬合面積、審美性の利点がある 1 つだけネジ アクセス穴にします。少ないネジ アクセス穴は咬合の安定性も向上します。
Dr. Seok Gyu (Victor) Kim’s affiliations
「口腔インプラント埋入手術のリスクマネージメント・・・鎮静法の実際・・・」
東京歯科大学口腔健康科学講座 主任教授 福田 謙一 先生
口腔インプラント治療は、咬合を再構築し、食生活などのQOL向上に劇的に寄与する。しかしながら、必要な医療水準に到達していないと医療事故を招き、医療紛争へと発展する。社会のニーズは、より安全な医療を求めている。今や口腔インプラント治療を遂行していく上で、医療安全管理の確保は、不可欠である。
口腔インプラントの埋入手術は、骨外科手術であること、比較的長時間におよぶこと、局所麻酔薬の使用量が比較的多いこと、注水下の処置であること、患者に“手術”というイメージから不安を与えやすいことなどから、他の歯科処置と比較して、身体的・精神的ストレスは大きいことが推測される。また、患者は比較的高齢者が多く、内科疾患を合併した患者も多い。口腔インプラント埋入手術を行う上では、疼痛管理も含めて、患者の全身管理を徹底しなければならない。
本講習では、緊急時の対応や周術期の全身管理・疼痛管理など、口腔インプラント埋入手術における患者のリスクマネージメントについて、精神鎮静法(静脈内、笑気)のデモも含めて学習する。
・患者の予備力を読む
・患者の合併疾患への対応
・モニター監視の基本
・緊急時の対応
・ペインコントロール
・精神鎮静法の実際(デモ)
福田 謙一