午前の部
「失敗しない歯槽骨造成法のポイントとガイドライン」
中谷歯科医院院長/日本口腔インプラント学会指導医・専門医 堀内克啓
インプラント外科の成功の秘訣は、まず外科基本手技を完璧にマスターすることであり、難症例の手術も基本術式の積み重ね、あるいは応用である。また、一般的に行われている手技は間違っていることもあり、それが元で失敗に繋がっていることも多々ある。
補綴主導型インプラント治療のためには、萎縮した歯槽堤を造成する必要があり、自家骨移植、GBR、歯槽骨延長術などが用いられている。それぞれの術式の長所・短所を熟知し、各症例に最適な骨造成法を選択することが成功の秘訣である。
本講演では、まず骨造成の際に創哆開を生じないための基本手技のポイントについてビデオを用いて詳細に解説する。そして、歯槽堤造成術のガイドラインを提示し、どのような症例にはどの術式を単独あるいは併用するのが最適であるかを、自験例を供覧しながら言及したい
日本口腔外科学会(指導医、専門医)
日本口腔インプラント学会(指導医、専門医)
日本顎顔面インプラント学会指導医、専門医)
日本歯科麻酔学会(認定医)
午後の部
「インプラント周囲炎の予防とその対応」
明海大学歯学部口腔生物再生医工学講座 歯周病学分野 教授 申 基喆
インプラント周囲炎は周囲軟組織の炎症と支持骨の喪失を特徴とし、最終的にインプラントの喪失に繋がる。細菌性プラークは、インプラント周囲疾患の発症および進行の原因であり、さらに様々なリスク因子(既存の歯周病、プラークコントロール不良、など)が影響している。また、インプラント周囲炎の治療法については未だ確率されていないため、多くの炎症性疾患と同様に、早期診断と早期治療を行うことの重要性が示されている。この講演では、インプラント治療後のメインテナンスの重要性と方法、さらに、インプラント周囲炎の予防とその対応法について解説したい。
日本歯周病学会 理事,専門医,指導医
日本歯科保存学会 理事,認定医,指導医
日本再生歯科医学会 理事
日本有病者歯科医療学会 認定医,指導医
国際インプラント会議日本部会(WCOI) 理事
日本顎咬合学会 評議員,指導医
アメリカ歯周病学会(AAP) 会員
ITI Fellow
1.最新歯科衛生士教本 歯周病学 第 2 版 編著 医歯薬出版(2015)
2.Carranza’s CLINICAL PERIODONTOLOGY(12th Edition)共著 ELSEVIER (2014)
3.拡大写真で見る ペリオとインプラントのための審美形成外科 監訳 クインテッセンス出版(2014)
4.臨床歯周病学 第 2 版 編著 医歯薬出版(2013)
5.Carranza’s CLINICAL PERIODONTOLOGY(11th Edition)共著 ELSEVIER (2011)
6.インプラント時代の歯周マネジメント 編著 デンタル・ダイヤモンド社(2011)
7.若き歯科医師のための クリニカル・ベーシック講座 共著 メディカルとレビューン社(2011)
8.歯周病患者におけるインプラント治療の実践 共著 医学情報社(2011)
9.ペリオ&インプラントセラピー 変化する最新コンセプトと術式のすべて クインテッセンス出版(2009)
10.歯周外科とインプラント手術のための縫合 デンタル・ダイヤモンド社(2009)
11.臨床歯周病学 編著 医歯薬出版(2007)
12.最新歯科衛生士教本 歯周疾患 執筆代表 医歯薬出版(2006)
13.Periodontal Flap フラップ手術実践テクニック 単著 デンタル・ダイヤモンド社(2005)
14.Carranza’s クリニカルペリオドントロジー 第 9 版(上・下巻) 監訳 クインテッセンス出版(2005)
15.インプラントのための骨の生物学・採取法・移植法 ―その原理と臨床応用― 監訳 クインテッセンス出版(2005)
その他多数
Ⅰ目的: 現在インプラント治療(インプラント埋入手術)が盛んに行われているが、インプラント埋入の技術の熟練は非常に重要であることは言うまでもない。 加えて、インプラント治療後(インプラント上部構造完成後)、長期にわたってインプラント周囲組織を安定させ咬合機能を維持させることも重要な要素である。今回インプラント治療患者で来院初期の十分な動機づけ、プライマリーケアーを受け上部構造装着後以降の規則的かつ持続的なメインテナンスを受けることがインプラント治療予後の長期安定性と高いインプラント生存率に好影響を及ぼすことが改めて把握できたので統計分析を報告する。
Ⅱ材料および方法(又は症例の概要):当医療機関で 1997 年から 2012 年までの来院初期の十分な動機づけ、プライマリーケアーを受けた患者で、インプラント上部構造装着後から 3 年以上経過した総人数、メインテナンス受診患者数、および定期的メインテナンス受診者のインプラント生存率の調査を行った。当医療機関は患者の初診時、診療室に入る前にインプラント治療も含めた一般的な歯の治療の流れと治療後のメインテナンスの重要性を十分に理解させるため、それを動画にして説明する 15 分のビデオを閲覧させている。また初期治療の前に、唾液検査を行うことによって、虫歯細菌の量、唾液の量、唾液緩衝能など評価と歯周病リスク評価ツールを用いて口腔内状況の説明と管理を行っている。
Ⅲ結果(又は経過):1997 年から 2012 年までインプラント治療を施した患者の総数は 330 人で、その中で定期的(3~6ヶ月毎)にメインテナンスを受ける人数は 216 人で、メインテナンス率は 65%あった。また定期的にメインテナンス受ける患者でインプラント上部構造装着後 3 年以上経過のインプラント生存率は 98%であった。
Ⅳ考察および結論:来院初期の十分な動機づけ、プライマリーケアーを受けた患者のメインテナンス率は高く、このシステムが高いインプラント生存率につながっているものとこの結果から推察される。インプラント治療を行う上で、来院初期の十分な動機づけとプライマリーケアー、メインテナンスに至るまでの治療の流れを確立しておくことが定説の通り長期のインプラント生存と機能的安定性を維持できるものといえる。