「骨補填材の臨床応用」
報徳歯科院長/一般社団法人東京形成歯科研究会 豊田 寿久 先生
インプラント臨床において、GBR 法を併用することは必要不可欠であり、様々な補填材が市販されている。良好な結果を得ようとすれば、補填材と血液生体材料を併用することが必要であり、造成部に時間経過とともにどの程度の骨質を持った新生骨が作られるのかを予測することも必要である。今回の講義では、手術所見と組織像を対比し、術後の X 線像とも比較しながら、主に補填材としての Bio-Oss の用い方と勘所について症例を供覧したい。
「イタリアインプラント学会のトピックとハイテクノロジー(2015年6月)」
テルミナ歯科クリニック院長/一般社団法人東京形成歯科研究会 鳥村 敏明 先生
1992年から数多くのインプラント症例を行ってきましたが、当初は「いかに咬めるようにするか。」や「骨造成をいかに行うか。」が問題点でした。
20年以上経過して、現在は「いかに安全に効率よく骨造成ができるか。」「いかに長期に良い状態を維持し、インプラント周囲炎を防ぐか。」「いかに審美的に仕上げるか。」です。2度目のイタリアインプラント学会に参加してそれらについて新しい有益なトピックスがありましたのでその概要をお話しします。
「循環器疾患と歯科口腔外科ならびにインプラント」
-抗血栓療法患者のガイドラインを含めて-
医療法人神州 社団東京駅前歯科口腔外科理事長・院長/明海大学歯学部客員教授 白川正順先生
わが国はまさに世界第一位にランクされる超高齢化社会を迎えた。この社会状況にともなって、歯科受診患者の年齢層や疾病構造が大きく変わってきたことは、言うまでもない。従来までは超高齢者や基礎疾患保有患者(以下有病者と略)の観血的処置は後方支援病院に依頼していたというのが一般的であった。しかし、これほど有病者人口が増加すると、一般歯科臨床医にとっても、有病者の観血的治療は避けては通れない診療域になっている。かかりつけ歯科医にとっても有病者に対する知識と対処の方法を身につけ、有病者の歯科治療を積極的に取り組む必要がある。
疾患内容をみると、特に循環器系疾患が約 60%を占め、歯科治療中の血圧変動による有形・無形のトラブルが起こりやすいといえ、日常の臨床においても、その対応が不可欠である。例えば、急激な血圧の変動、ショックや術中、術後の出血、術後感染などが問題になる。とくに、血圧の変動を起こしやすい疾患は高血圧症、虚血性心疾患あるいは糖尿病、腎疾患の患者などが具体的に挙げられる。
血圧変動の原因は心因的な内的ストレスと身体的な痛みなど外的ストレスが原因となるが、歯科治療は両者のストレスが関連する。とくに心因的ストレス血圧変動との関連については関心が高く、従来から多くの研究がなされてきた。とくに高血圧患者となると健康人に比べてストレスによる反応が敏感なため、術者の予測し得ないリスクが潜在する。
一方、循環器疾患患者の観血的処置は術中、術後の出血に悩まされる。多くの場合、抗血液凝固薬を使用しているからである。抗血栓療法患者に対する観血的治療については日常臨床で苦慮することが多いが、「抗血栓療患者の抜歯に関するガイドライン」が 2010 年 10 月に作成され、2014年 3 月に改定されたので、本ガイドラインに沿って抗血栓療法患者のインプラント施行時の考え方についても触れたい。
基礎疾患を保有する患者が急増する社会構造のなか、患者を口腔に限局せず、全人的に観察して、潜在するリスクを見逃さない訓練を積みたいものである。
白川正順 医学博士
学歴及び職歴
(一社) 日本先進インプラント学会理事長
(公) 日本口腔外科学会名誉会員
(中) 日本口腔科学会名誉会員
(一社) 日本有病者歯科医療学会前理事長
(一社) 日本有病者歯科医療学会監事
(一社) 日本有病者歯科医療学会名誉会員
国際口腔インプラント会議顧問
日本メタルフリー歯科学会常任理事
日本病院歯科口腔外科協議会
・ 有病者歯科診療
・ 有病者歯科治療ハンドブック
・ 口腔外科学リファレンスマニュアル
・ 臨床家のための歯科小手術ベーシックなど
・ 一般臨床家のためのインプラント・口腔外科小手術
・ -失敗しない切開・剥離・縫合のテクニック-
著書多数。