「美容を意識する歯科治療~下顎位について」
菊池 龍介 先生
視覚情報としての美容は非言語のコミュニケーションの主役である。下顎が変位すると表情筋に影響する他、種々の症状をひき起こす。また、噛む行為によって大脳の特定部位に直接はたらきかけることができる。
ヒトの顔面は、発生学では内臓頭蓋とよばれる。哺乳類の歯は咀嚼が可能な構造を獲得し、顎関節も爬虫類のそれとは異なる。また、鰓弓を起源とする咀嚼器官の中枢は、辺縁系(情動脳・内臓脳)が中核をなす。それは、摂食・睡眠などの本能や、威嚇・親愛などの情動に係わる無意識の領域となっている。
ところで、河村洋二郎の「機能的咬合系の概念」は、咬合・顎関節・神経筋機構の相互関係を生理学的に説明したものである。それは、咬合治療における下顎位の重要性を裏付ける概念であり、下顎位は三者の調和を図りながら設定することが望ましい。
咬合治療とは進化的な背景をもつ咀嚼系への介入であり、治療には準拠する理論が必要だ。そこで、「咀嚼器官の新たな機能を提唱した理論(R.スラビチェック)」、および「下顎位を神経筋機構に関連づけた理論(B.ジャンケルソン)」を取り上げ、比較検討する。両者はともに、無意識の領域に治療の方向性を求めている。
氏名 菊池龍介 1959年(昭和34年)4月18日生
東京形成歯科研究会
先端口腔機能研究所(上濱正明海大学臨床教授主催)
日本インプラント学会
日本顎咬合学会(咬み合わせ認定医)
ICCMO(国際顎頭蓋機能学会)
読書、模型づくり
「 充実した歯科診療を目指し、歯科医院をいかに継続させるか
・・・インプラント補綴と咬合・・・ 」
鈴木 冨士夫 先生
今年68歳、歯学部卒業40年、生きがいある臨床医として38年が過ぎました。その間総合歯科診療に携わり、今現在私がこうしていられるのは、これまでに出会ったものすべての賜物であると考えております。心穏やかに、心豊かに生きるため今年も出会いを楽しみに過ごしたいと思っておりますが、その出会いの中で私の歯科人生をがらっと変えた1人にDr.LD.Pankey D.D.S先生がおります。約30年前マイアミでパンキー歯科診療哲学(Philosophy)を受講するチャンスがあり、学んだあの大感激はいまでもよく覚えております。またロータリークラブに入会してから27年になりますが、「ロータリーの奉仕の理念」をいろんなロータリアンから親切に訓えていただきましたが、驚きました。ロータリーは何か良いことをする人の集まり、ボランティア、奉仕団体だと思っていたのが、それは一部であって、その本体は別にあったのだと気づきました。
ロータリーは人がどう生きたら幸せに生きられるかという答えを訓えてくれていたのです。そして、ロータリーの「奉仕」“Service”や「奉仕の理念」が私の経営理念や患者さんに対する姿勢と完全に一致することに気づいたとき、よりいっそう歯科診療哲学の深さ(面白さ)を導いてくれました。
今は充実した満足感を味わうというか、ひたれる日々(診療)を過ごしております。
また、今日はその一部である咬合というテーマをいただきましたので、私が診療していますNeuromuscular Conceptの臨床を聞いていただき、先生がたの忌憚のないご意見・ご感想をいただければありがたいと思います。
鈴木 冨士夫
日本補綴歯科学会
日本口腔インプラント学会
日本歯周病学会
日本臨床歯周病学会
国際顎頭蓋機能学会
日本歯内療法学会
日本咀嚼学会
日本全身咬合学会
油絵、陶芸、スキューバダイビング、乗馬、剣道三段、ゴルフ
ロータリークラブ(27年) 元クラブ会長 現地区職業奉仕委員会委員長
「モダン・ペリオドントロジ- ・・・歯周治療最前線・・・」
和泉 雄一 先生
へルスケアにおける口腔と全身との関連性が科学的に追求され、歯周病が糖尿病、循環器疾患、呼吸器疾患といった生活習慣病に密接に関係していることが明かにされ、さらに、早産・低体重児出産にも深く関わっていることが報告されている。歯周治療を行うことにより、口腔内の慢性炎症を改善し、全身の健康増進に深く寄与することが注目されている。
歯周治療を的確に進めることによって、probing depthの減少やprobing attachment levelでの付着の獲得が得られるが、破壊された歯周組織を完全に復元することは不可能である。近年の再生・修復療法の進歩により、炎症によって破壊された歯周組織を元の健康な状態に回復させるという目標に徐々に近づきつつあるといっても過言ではない。さらに、検査技術の進歩、抗菌治療やレーザーの応用が加わり、多彩な歯周治療が可能となった。また、歯周治療の知識と技術は、インプラント治療の最大の合併症であるインプラント周囲疾患の予防と治療に大きな力を示す。
今回、最新の歯周治療についてご紹介する。
和泉 雄一
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 生体支持組織学講座 歯周病学分野 教授
日本歯周病学会歯周病専門医(指導医)、日本歯科保存学会保存治療専門医(指導医)、
日本歯科医学会常任理事、日本歯周病学会常任理事、日本歯科保存学会常任理事、WCOI Japan 理事、口腔病学会常任理事、日本レーザー歯学会代議員、日本再生医療学会代議員、American Academy of Periodontology (International Member)、American Society of Microbiology (Active Member)、Asian Pacific Society of Periodontology (Treasurer)
・ 進歩する歯周組織再生治療の分類と臨床、編著、第一歯科出版、2009
・ 歯科衛生士のためのペリオドンタルメディシン、編著、医歯薬出版、東京、2009
・ ザ・ペリオドントロジー、編著、永末書店、京都、東京、2009
・ インプラント周囲炎を治療する、編著、医学情報社、東京、2010
・ 糖尿病第6の合併症:歯周病、月刊糖尿病、企画編集、医学出版、東京、2010
・ 歯科と医科のクロストーク、PROGRESS IN MEDICINE、編著、ライフ・サイエンス、東京、2010
・ 新インプラント周囲炎へのアプローチ、編著 永末書店、東京・京都、2010
・ 歯周治療・インプラント治療におけるEr:YAGレーザーの使い方、編著、医学情報社、東京、2011
・ インプラント時代の歯周マネージメント、編著、デンタルダイヤモンド、東京、2011
・ 歯周治療へのアプローチ、編著、永末書店、東京・京都、2012
・ 成功する歯周組織再生治療 ―歯を保存するために-、編著、医歯薬出版株式会社、東京、2012.
・ よくわかる歯科用レーザー120%活用術、編著、デンタルダイヤモンド社、東京、2012.
・ 歯周病と全身の健康Q&A、編著、医学情報社、東京、2013
・ ザ・ペリオドントロジ-、第2版、編著、永末書店、東京・京都、2014
・ 糖尿病患者の口腔の健康管理、月刊糖尿病、企画編集、医学出版、東京、2014