第54回JSOI学術大会 研究施設セッションプログラム モーニングセミナー
研究施設セッションプログラム
モーニングセミナー
11月3日(日) 8:00-8:50
第8会場(国立京都国際会館本館2階Room B-2)
〒606-0001 京都市左京区岩倉大鷺町422番地
主催
一般社団法人 東京形成歯科研究会
Tokyo Plastic Dental Society 厚生労働省認定 再生医療等委員会
座 長:礒邉 和重(東京形成歯科研究会・副会長)
講 師:奥寺 俊允(東京形成歯科研究会・副会長)
超高齢社会の現在,歯科医療においても高齢者のニーズに対応するため,咀嚼機能の維 持,失われた機能と審美の回復は生活の質向上に直結し,高い次元で達成できるインプ ラント治療の需要はますます高まってきている.インプラント治療の長期安定性には, 治療計画段階から患者の全身状態や口腔内を綿密に評価することが必須となり,必要性 を考慮した適切な骨移植やインプラントと最終上部構造の選択で継続可能なメインテナ ンスの確立が成功の鍵となる.高齢者では近い将来起こる欠損形態を予測し積極的なイ ンプラント治療で咬合崩壊を予防,侵襲の少ない外科処置が可能となる.抜歯を躊躇し たため骨吸収が顕著になってからのインプラント治療はridge augmentationが必須となるが, 顎堤保存の観点から抜歯即時埋入や早期埋入を検討することにより治癒期間も短縮し負 担の少ない治療が提供できるようになった.フルマウスインプラント治療では治療期間 が長く,特に高齢者ではインプラント手術後の治癒期間中に咀嚼機能が低下,栄養摂取 が不十分となり一時的にも口腔機能低下症につながる可能性があるため,埋入後の暫間 補綴を考慮し治癒期間中もQ O Lを維持させ,機能低下を引き起こさせない対応が必要と なる.上部構造装着後の継続可能なメインテナンスは,定期的なフォローアップと専門 的口腔ケアが不可欠となる.特に高齢者は徐々に自己管理が難しくなる事が多いため, 歯科衛生士や家族の協力で適切な口腔状態を維持することが重要となりメインテナンス の負担を軽減するために,最終補綴はセメント使用せずリムーバーのみで着脱するフリ クショングリップ固定のA G Cブリッジを選択することでフルマウスの上部構造を短時間 に着脱でき,直接アバットメント周囲を清掃できるため容易で確実なメインテナンスが 確立できている.本セッションでは一連の手順を2症例供覧,解説し高齢者のインプラ ント治療について考察する.